古格(グゲ)王国遺跡

 チベットガリ地区札達(ツァンダ)県にある中国重点文物保護区(国宝・重要文化財)の古格(グゲ)王国遺跡(Guge Kingdom Site)は、この地方に割拠する政権の一つ、グゲ王朝の都城であったと考えられている、   

 遺跡は山の斜面に建てられており、敷地面積は約1.8万平方キロで、高低差は175メートル、遺跡全体の建物は家屋洞窟300余カ所、仏塔(高さ10余メートル)3基、寺院4基、殿堂2間及び地下通路2本があり、上、中、下の3層に分けられ、王宮、寺院、民家の順である。外周に城壁が建てられ、四隅にトーチカ50基が設置されている、その紅廟、白廟及び輪廻廟の彫刻造像及び壁画には逸品が少なくない、チベット族の歴史と建築史にを重要な遺物資料とな高く文物価値が有ります。

 グゲ王国または古格王国(チベット語:གུ་གེ་རྒྱལ་རབས)(842年 - 1630年)は、吐蕃の王族の一部が西チベットで建国した王国。
   吐蕃のティソン・デツェン(在位755年-797年)が没すると、吐蕃は急速に衰えていった。ラン・ダルマ王の息子ウースンはツァンを支配していたが、ウースンの子ペルコル・ツェンが暗殺されるとその子は西チベットに逃れ、ガリーのマルユル(Maryul of Mnah-ris)、プラン、グゲといった谷に住み着いた、グゲ王は荒廃した仏教再興の為、当時の仏教先進地域カシミールへ留学僧を派遣、カシミール様式の寺院、建築、壁画などを導入した。
   10世紀、グゲの首都ツァパランは石灰質の岸壁に守られた要塞都市であり、仏教の中心のひとつとなった。当時の王コレは王位を捨てて仏門に入っている。なおツァパランは要塞都市なので、中心都市は18km東にある道沿いの都市トリン(現ツァンダ)である。
 グゲ王国は11世紀には分裂して衰えるが、1042年にインドのヴィクラマシーラ大学の高僧アティーシャを招聘。 アティーシャの教えはカダム派を生み現在のゲルク派の源流となった。こうした活動により、再びチベット仏教が栄え、ピヤントンガ石窟群が築かれた。現在も、グゲ王国の中心的都市として繁栄したツァンダ付近には石窟壁画が残っており、北インドの影響が見てとれる。
14世紀にはマンナン(トリンの南約15km)を都として復興されている。15世紀にはナムギェル・デが王となり、ツァパランに王宮を造って再び首都をこの地に戻した、現在残っているグゲ遺跡のほとんどはこの時のものである。
 1532年、グゲはムガル帝国初代皇帝バーブルの従兄弟であるミールザー・ハイダル・ドゥグラト将軍率いるイスラーム軍の攻撃を受けるが、近隣国のプラン同様にほとんど抵抗することなく、イスラーム軍は中央チベットにまで遠征している。もっともチベットが難攻の地であったこともあり、その後この軍はカシミールに向かっている。
 1624年、ポルトガル人のイエズス会士アントニオ・デ・アンドラーデとマヌエル・マルケスはインドからグゲ王国を訪ね、グゲ王に歓迎されている。
 1630年にラダック王国(現ラダック)に征服されて、グゲ王国は滅んだ
独立国として滅んだ後も、難攻の地であるグゲは王国としての体裁を保った。1647年にラダック王がなくなると、グゲは間もなくチベットの管轄下となった。この時までイエズス会は活動を続けていたが、1652年に弾圧されてチベットを去っている。
 1841年にはいわゆる清・シク戦争の際、シク王国のゾーラーワル・シング将軍の攻撃を受け、遺跡の破壊を受けている。清・シク戦争自体はゾーラーワル・シング将軍が戦死し、チベット軍はラダックにまで乗り込むが、そこで敗れてラダック・チベットの協定が結ばれることで終結している。
 

 古格(グゲ)王国遺跡の各殿内の展望板と四つの壁には彩色壁画があり、画風は独自に一体となり、高い芸術と歴史的価値があり、チベット美術史において重要な地位を占めている。遺跡内のいくつかの建物は彩色、泥人形、彫刻芸術などは古代格王国時代に残された完全な作品であり、古代格建築と芸術の代表である。外部からの侵入を防ぐために、ググ王国は都と一部の部下の治所をすべて軍事拠点にし、特に都の軍事防衛施設の建物は、チベットの古い建物の中の防衛施設の研究に詳細な資料を提供している。
 1961年3月4日、ググ王国遺跡は中華人民共和国国務院によって第1陣の全国重点文物保護区として公表された。

 

2012.10.2 撮影 王琦

 

2012.10.2 撮影 王琦

 

 

「宣舞」はザダ県に起源があり、チベット・アリの民間伝統舞踊である。「宣舞」はチベット劇、舞踊、語りなどの主要なチベット族民間芸術を融合させ、内容はチベット民族の宗教、儀礼、風俗、祝祭などの各方面の内容をカバーしている。2008年、「宣舞」は第2陣の国家級無形文化遺産に登録された、チベット・ググ王国遺跡の足元で、地元の村人が「宣舞」を披露した 出典 新華社2024.10

 

 

チベット・アリ地区のザダ県ググ王国遺跡の足元で、地元の村人が「宣舞」を披露した 出典 新華社2024.10

 

詳細な紹介